安倍政権、競馬場やパチンコ店への入場制限システム導入を検討…依存症対策が業界の重荷に

政府は4月19日、ギャンブル等依存症対策推進基本計画を閣議決定した。国内でのカジノ解禁に向け、批判の多いギャンブル等依存症への対策を打ち出した。柱は、競馬、競輪、オートレース、競艇、パチンコの施設への入場制限やインターネット投票などのアクセス制限と、これら施設におけるATMの撤去。しかし、特に入場制限の実現に向けては課題も多そうだ。

今回の基本計画は、昨年10月に「ギャンブル等依存症対策基本法」が施行されたことに伴い策定された。対象期間は2019年度から21年度の3年で、菅義偉官房長官を本部長としたギャンブル等依存症対策推進本部を中心に計画が実行される。また、同基本法では、「都道府県は、都道府県ギャンブル等依存症対策推進計画を策定するよう努めなければならない」とされており、都道府県も政府に歩調を合わせるようにギャンブル等依存症対策に取り組まなければならない。

2017年度の日本医療研究開発機構(AMED)の調査結果によると、国内で「ギャンブル等依存が疑われる者」の割合は、成人の0.8%となっている。そして、最もお金を使ったギャンブル等は、パチンコ・パチスロだった。また、ギャンブル等依存に関連する各種のデータは以下のようになっている。

(1)2016年度に精神保健福祉センターや保健所に寄せられたギャンブル等に関する相談件数は3837 件

(2)2017年度中に「全国消費生活情報ネットワークシステム」に登録された借金の問題に関連すると思われる消費生活相談のうち、ギャンブル等に関連すると思われるものは、2万6387件中、535 件(消費者庁調査)

(3)2017年に財務局等に寄せられた「多重債務」に関する相談中、相談者の借金をしたきっかけが「ギャンブル等」と判明したものは、5299件中323件、同様に地方自治体に寄せられた相談では、2万9861件中828件(金融庁調査)

(4)保護観察対象者のうち、「ギャンブル等依存対象者」類型に認定された者の数は、2017年は2万8035名中、1296 名(法務省調査)

 

●すでに実施済の各種対策

・パチンコ
パチンコ店(2018年12月現在約1100店)にATMが設置されているが、キャッシング機能やローン機能はなく、1日3万円、1カ月8万円の利用制限を設定。また、一部のパチンコ店(同約850店)で、1日3万円の利用制限があるデビットカードシステムを導入

こうして見ると、ほとんどの公営ギャンブル場とパチンコ店では、すでにキャッシングやローンといった借り入れはできなくなっており、パチンコ店では自らの口座から預金を引き出す際にも、1日3万円という利用制限が設けられていることがわかる。

 

さて、パチンコの場合には、15年10月からパチンコ店の顧客会員システムを活用し、客が1日の遊技使用上限金額等を自ら申告し、設定値に達した場合、パチンコ店の従業員が当人に警告する「自己申告プログラム」の普及に取り組んでいる。同プログラムの導入店舗数は、18年12月末時点で2195店舗まで拡大している。また、17年12月からは利用者の同意を得た家族からの申告により、パチンコ店への入店を制限する「家族申告プログラム」も実施している。

パチンコも同様に個人認証による入場制限のシステム導入を求められているが、すべてのパチンコ店が共通した個人認証データを持たなければ、ギャンブル依存の対策にはならないだろう。あるいは、パチンコと公営ギャンブルが共通した個人認証データを持つ必要があるかもしれない。この場合、公営ギャンブルと同様に、パチンコ業界は巨額の研究費用とそのシステムの導入という設備投資に耐えられるのだろうか。

その上、パチンコでは、2021年春までに出玉規制にかかわる新基準に適合する遊技機に入れ替えることも義務付けられている。

国内でのカジノ解禁に向け、既存の公営ギャンブル、パチンコ店は「ギャンブル依存症等の対策」という名目のもと、“受難の時代”を迎えている。exciteニュースより